第1帖「桐壺」(6)しばしは夢かとのみたどられしを
原文・語釈 しばしは夢かとのみたどられしを 「『しばしは夢かとのみたどられしを、やうやう思おもひ静しづまるにしも、さむべき方かたなく耐たへがたきは、いかにすべきわざにかとも問とひ合あはすべき人ひとだになきを、忍しのびては...
原文・語釈 しばしは夢かとのみたどられしを 「『しばしは夢かとのみたどられしを、やうやう思おもひ静しづまるにしも、さむべき方かたなく耐たへがたきは、いかにすべきわざにかとも問とひ合あはすべき人ひとだになきを、忍しのびては...
原文・語釈 はかなく日ごろ過ぎて はかなく日ひごろ過すぎて、後のちのわざなどにもこまかにとぶらはせたまふ。ほど経ふるままに、せむ方かたなう悲かなしう思おぼさるるに、御方々かたがたの御宿との直ゐなども絶たえてしたまはず、...
原文・語釈 御胸つとふたがりて 御胸むねつとふたがりて、露つゆまどろまれず、明かしかねさせたまふ。御使つかひの行ゆき交かふほどもなきに、なほいぶせさを限かぎりなくのたまはせつるを、 「夜中うち過すぐるほどになん絶たえ果...
原文・語釈 この御子、三つになりたまふ年 この御子みこ、三みつになりたまふ年、御袴着はかまぎのこと、一の宮のたてまつりしに劣らず、内蔵寮くらづかさ、納殿をさめどののものを尽くしていみじうせさせたまふ。 それにつけても...
原文・語釈 初めよりおしなべての 初めよりおしなべての上宮仕うへみやづかへしたまふべき際きはにはあらざりき。おぼえいとやむごとなく、上衆じやうずめかしけれど、わりなくまつはさせたまふあまりに、さるべき御遊あそびの折々を...
原文・語釈 いづれの御時にか いづれの御時おほんときにか、女御にようご、更衣かういあまたさぶらひたまひける中に、いとやんごとなき際きはにはあらぬが、すぐれて時ときめきたまふありけり。はじめより、「我は」と思おもひ上あが...